原画・監修 |
日本画家 平山郁夫 HIRAYAMA Ikuo |
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1985
縦2.8m × 横17.7m
JR東日本 上野駅(現在非展示、同駅に再設置予定)
企画 : 日本交通文化協会
協賛 : 松下電器産業

平山郁夫
HIRAYAMA Ikuo
日本画家
1930年広島県生まれ。東京美術学校(現 東京芸術大学)日本画科卒業。現代日本画壇を代表する作家。シルクロードをテーマにした作品、高松塚古墳壁画の模写のほか、「文化財赤十字」運動を展開し、国際的評価も高い。東京芸術大学美術学部教授、学部長、学長を歴任したほか、ユネスコ親善大使・世界遺産担当特別顧問、東京国立博物館特任館長、文化財保護・芸術研究助成財団の理事長などをつとめた。1998年文化勲章受章。2009年永眠。
場所 : JR東日本 上野駅(現在非展示、同駅に再設置予定)
作家コメント
『「北のふる里」への思いをこめて』
今回のステンドグラスの一番のポイントは、構成もモチーフも日本的であるということです。もともとステンドグラスは西洋のものですから、たいていのステンドグラスは西洋的な構成と色づかいをしますね。ヨーロッパの建築様式と風土においては、ぶ厚い建物とさまざまな色の調和は、まさに状麗、荘厳の印象を与えますが、そのまま日本に採用してもちょっと違うように思うわけです。
そこで、わたしは西洋の技法であるステンドグラスを日本的な素材と構成を用いて、あえてやってみようと思ったわけです。親しみが持てるうえ、日本的な作品をつくるということはなかなかむずかしんですけれど、東洋と西洋を融合することにまず計画の主眼を置きました。
背景となっているこの青い色は”水”の色です。わが国の水の豊かさ、緑の豊かさを表現しています。全体の絵の真中に、桜やつつじなど花の色を集めて、上下はなるべく色の少ない乳白色の変化でもたせるようにしました。この水と緑の流れは、ある意味では抽象的です。そして、ステンドグラスを補強するための枠組みを、?風ふうに、あるいは障子と受けとっていただいても結構ですが、それを構図の中に組み込んでいるわけです。
設置場所の関係で、太陽が東から当たると色とりどりに輝き、西から光が入ると上野の町が参加する。春夏秋冬、白くなったり、緑になったり、四季折々で変化を見せたいと考えました。それも余白といいますか、”間”をうまく生かすということが日本的な考えかたです。
そして、扇面のなかに特徴のある江戸文字で県名を書く。これもきわめて日本的な道具立てだと思っています。西洋にはこういう形の画面がありません。円形とか球形はあっても、扇形のような空間はないのです。
実は、このステンドグラスの原画を制作するに際して東北および上越新幹線の各県の象徴となるものを盛り込んでほしいという要望がありましたが、バラバラにいれてもまとまりがありませんので、扇形で中心をつくり、東から北のほうへ順に流れていく。それが新幹線のスピード感の表現でもあるんですが、そうしてそのなかに上野・浅草でいえばあさがおであるとか雷門とか、またその県の代表となる花を描いていこうと思ったわけです。
扇はもともと中国からきていますが、このようなかたちを完成させたのは日本です。古来六曲一双という言葉がありますが、このステンドグラスでも、六枚折り?風が柱をはさんで対になっています。?風一曲で独立した画面になります。それがひとつの県の象徴になる。そういう点では装飾性にすぐれた構図が取れるわけです。言わば各県の名札が扇一曲に表現されているということです。
モザイクでもステンドグラスでも、陶板でも同じことが言えますが、あくまで公共芸術ですから、何を描いているかよくわからないようでは困るわけです。故郷に帰るときとか、あるいは上京してくるときに、「ここにふるさとがある」という親しみですね。東北・上越にはそうした風土があるというのがわたしの見方でもあります。
制作に当たっては、芸大の日本画の助手の若い人たちが積極的に手伝ってくれました。みんなで一緒になってやりましたから、それも大きな特徴のひとつです。公園口に広場ができて、いろんな人たちがステンドグラスの前に集まり、ゴザでも広げてお弁当でも食べようかという気分になっていただければ、この仕事は大成功だと思います。(談)