原画・監修 |
洋画家 野見山暁治 NOMIYAMA Gyoji |
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協力 |
飯塚市小学生 Elementary school students in Iizuka City |
2023
縦2.8m × 横7.8m
飯塚市総合体育館 エントランスホール
本作品は、飯塚市出身の野見山氏と次代を担う飯塚市の小学生とのコラボレーション作品です。
飯塚市内の小学一年生に“自分の夢、飯塚市の好きなところ、自分の好きなスポーツ”をテーマにした絵を募集。集まった1,098枚の中から約40枚の作品を選び、そこから野見山氏がインスピレーションを得て粘土で造形を制作しました。その造形をもとに、「クレアーレ熱海ゆがわら工房」の職人が約10か月かけて、拡大サイズの陶板レリーフを製作しました。
これまで平面のキャンバスで表現をしてきた野見山氏にとって、立体の陶板レリーフの制作・監修は初めての取り組みとなりました。
企画 : 日本交通文化協会

野見山暁治
NOMIYAMA Gyoji
洋画家
日本を代表する洋画界の巨匠。
時流にとらわれることなく、ひたすら自己の絵画と格闘し続け、その大胆で新鮮な画面構成からは何ものにも束縛されない自由さが感じられる。安井賞を受賞した「岩上の人」などがあり、絵画のほかにも絵本や数多くのエッセイを執筆し、人間味あふれる文筆活動でも多くのファンを持ち、1978年には「四百字のデッサン」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞するなど、文化・芸術の分野で活躍している。東京藝術大学名誉教授。2014年、文化勲章受章。2023年永眠。
場所 : 飯塚市総合体育館 エントランスホール
作家コメント
川っぷちな、草茫々と茂っていて、流水はどこから来るのか、よくもと思うほど、どす黒く横たわっていた。
泳ぐたび母に叱られる。いくらトボけても、瞼や小鼻のふちに炭の粉がうっすらと残ってしまう。川っぷちの泥を、団子のように丸めて陽に晒していると、石炭のように燃える。
ぼくたちは、ネンボウという、小さな棍棒を地面に突き立てたり、コマを回したり、天に向かって凧をあげるのに夢中だったり。
女の子は、何をやっていたのか、仲間うちで仲良く遊んでいたので知らない。
小学校に入るようになって、はじめて洋服を着せられた。それまで着物だったので、両脚に分かれているズボンが似合わなかったら、どうしよう。僕は気取り屋だ。
近くの街の世界展で、西洋の子供たちの絵を知った。川も魚もボートも、きちんと輪郭で示されていて、その枠をはみ出さないように、色が塗り分けされている。犬も猫も行儀がいい。西洋人みたいだ。
ぼくたちの絵は、緑の葉っぱが地面と交わり、野原の花と一体になって、やけに大きい。
僕は今、お爺さんになっている。故郷の飯塚に、体育館が建つ。自分が育った小学校の皆さんの絵を、いっぱい描いてもらい、その中から選んで、粘土で型取りして、体育館の壁いちめんに貼り付けた。
故郷の後輩たち、いつの間に西洋の子供たちと同じ線、同じ色合い、区別がつかん。あの日本人の泥くささが消えている。
もう世界のどこに居ても、人間の生活は地球規模で進行しているのだろう。
<銘板に寄せられたメッセージ>
空はどこまでも拡がっている。僕の顔を空いっぱいに描こう。どこまでも広いんだ。大きな帽子を冠せよう、犬も連れてゆこう。
庭の木も忘れてはいけない。今に大きくなる日が来る。やがて風が吹いて、葉っぱが揺れ、空の向こうへ舞いあがる。
夢だから、いつかは消えるだろう。そうだ、雲の隙間にも描いておこう。これから未来に向けての、忘れてはいけない大切なメモなんだ。
この土地に生れて育った野見山暁治が、今ここで大きくなろうとしている子供たちの絵から選んで、粘土で、みんなの顔や車を作りました。